
芥川賞作家 中村文則の短篇集。
13篇の掌編が収められています。中村文則の小説は、7冊ほど読んでいますが、中・長編のみで、短編小説は読んだことがありませんでした。重い内容が多いので中編程度が丁度よい感じなのですが、短編だとどうか興味がありました。
内容はバライティに富み、意外な切り口の多さに驚かされます。
それもそのはず、初出の掲載誌が5誌あり、編集からの要望の方向性もかなり違っていたようです。
純文学←→大衆小説の順番で並べてみる(あくまでも主観)と下のようになります。
「早稲田文学」「文藝」「群像」「新潮」「現代小説」
従って、内容も俗っぽいものから文学的なものまで様々で、就職氷河期世代の27歳で芥川賞を受賞し、作家として生きていかなければならなかった苦労が垣間見れました。
作者自身、純文学作家としては多作の方で、その原点を知れて興味深い短編集です。
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