チョンタ 点心 (PART 1)

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デンマンさん。。。 なんだか奇妙なタイトルを書きましたわねぇ~。。。 “点心(ディムサム:てんしん)”は分かりますけれど、“チョンタ”というのは聞いたことがありませんわァ~。

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僕も知らなかったのですよ。。。
いつ知ったのですか?
実は、バンクーバー市立図書館で借りていた本を読んでいたら出くわしたのです。。。
チョンタ

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アマゾンのイキトスという町で唯一軒のホテルに着いたとき、私たちは、死ぬほどおなかがすいていた。
同行の友人は澤地久枝嬢である。
最近『妻たちの2.26事件』という著書を出された学究であり、軽薄な放送ライターの私とは、人間の重みが違うのだが、有難いことに好奇心と食い意地だけは全く一致していた。

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食堂で、二人は食いつきそうな目でメニューをにらんだが、スペイン語はさっぱり判らない。
チラチラと横目を使ったところ、うしろで、アメリカ人らしい男性が、不思議なものを召し上がっている。
大皿いっぱいにセロリらしいものの薄切りがのっている。
サラダはあれでいこう。
「あの紳士と同じものを食べたい」
貧しい英語と至誠が天に通じて、ボーイはうやうやしく同じものをもってきた。

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セロリに似てセロリに非ず。
香気はなく、パサパサして少し青臭い。
生のかんぴょうーーーいや、カンナくずを水にもどしてーーーそれも違う。
「冬瓜」のスライスーーーまあ、そんなところだろうか。
ドレッシング・ソースをかけて食べるのだが、今までにこんな味のない食物を食べたことはない。
これがチョンタである。
このあたりに生えている椰子の若芽で、一見白ずいき風。
手でむくと、スルスルスルスルと、いくらでもうすくはげる。

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マーケットで、女たちが、むいてひとかたまりにして売っていたが、おいしいかといわれると、うむ、とうなってしまう。
まずいかといわれると、そうでもない。
なんせ、味がないのだから。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
161-162ページ 『眠る盃』
著者: 向田邦子
2016年9月15日 第2刷発行
発行所: 株式会社 講談社

あらっ。。。 おいしそうなサラダじゃありませんか!

でも、チョンタそのものには味がないと書いてありますよ。。。 つまり、ドレッシングを味わっているようなものですよ。。。
。。。で、どういうわけでチョンタを取り上げたのですか?
やだなあああァ~。。。 小百合さんは忘れてしまったのですか?
何をですか?
向田さんは、すぐ近くのテーブルでアメリカ人のおっさんがチョンタ・サラダを食べているのを見て「あの紳士と同じものを食べたい」とボーイに注文したのですよ。。。
それと私が関係あるのですか?
やだなあああァ~。。。 もう忘れてしまったのですかァ~?
だから、私が何を忘れた、とデンマンさんは尋ねるのですか?
小百合さんは僕に一言の連絡もしないで、急に軽井沢からバンクーバーにやってきて、市立図書館で僕がパソコンに向かってブログの記事を書いているときに「デンマンさん、ディムサム食べにやって来ました。。。 カートで点心を運んでくるチャイナレストランで飲茶(やむちゃ)しましょう」と言ったのですよ。。。
うふふふふふふふ。。。
うふふふふふじゃありませんよゥ! 僕はまるで白日夢を見ているかと思って、一瞬心臓の鼓動がピタリ、と止まりましたよ!
デンマンさんは、何事も大げさに受け止めるのですわよゥ。。。 世界は狭くなっているのですわァ。。。 軽井沢から、バンクーバーまで丸一日とかからないのですわァ。。。 思い立てば、すぐに出かけることができるのですわ。。。
だからといって、一言も連絡なしでやって来るのは、心臓に良くないですよ!
つまり、その事とチョンタが関係あるのですか?
関係あります。。。 「カートで点心を運んでくる飲茶ならば、横浜のチャイナタウンに行けば思う存分食べられるでしょう!?」と言ったら、「最近、横浜の中華街では点心をカートで運んでくる店はめっきり減ってしまったようで、見つかりませんでした」と言うじゃァありませんかァ!
だから、バンクーバーにやって来たのですわァ~。。。
仕方がないので、僕はネットで調べてケリスデールの店を見つけたのですよ。。。

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デンマンさんが案内してくれたケリスデールにある中華レストランは、全く知りませんでしたわ。。。 それにケリスデールを訪れるのも初めてでした。

東京で言えば、麻布や成城のような、ちょっと高級住宅が集まっているところですよ。。。

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。。。で、ケリスデールというのはバンクーバーのどの辺にあるのですか?

次の地図を見てください。

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青色の丸で囲んだのがオークリッジセンターですよ。。。 ダウンタウンからカナダラインの地下鉄に乗って、このセンターで降りてそれからバスに乗り換えたのです。。。

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約10分ほどバスに乗るとケリスデールに着きます。

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■『レストランの評判』

バス停で降りたら、41番通りの反対側に渡ると目の前が 金海閣海鮮酒家(Golden Ocean Seafood Restaurant) です。。。 上の建物の2階です。。。 下は別の中華レストランです。。。 小百合さんも、今度来るときには間違わないようにね。。。

私は間違うようなことはありませんわ。。。 ちゃんとオツムに場所を刻み込みましたから。。。 で、この中華レストランとチョンタが関係あるのですか?
関係あるのですよ。。。 まず、珍珠糯米雞(Mini Sticky Rice Lotus Warp) を食べました。。。

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なぜ これを初めに食べるかというと、もち米でできているこの点心は、腹にたまるのですよ。。。 空きっ腹で飲茶をすると、他品目の点心をたくさん食べてしまう。。。 すると、会計の時に思わず高いのにびっくりしてしまう。。。 でも、最初に、この“ローマイガイ”を食べると、余り食べられなくなる。。。

それで、まず最初に、この“ローマイガイ”を私に食べさせたのですか?
そうです。。。 でも、小百合さんの胃袋は向田邦子さんの胃袋のように、食い意地が張って かなり大きいのですよ。。。 だから、続いていろんなものをカートの中に見ては 手にとって食べた。。。

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小百合さんが これほど食べるとは思いませんでした。。。

これでも、かなり遠慮したのですわ。。。 うふふふふふふ。。。
でもねぇ~、もっと驚いたのは テーブルの すぐ近くに居た おっさんが食べていたものに小百合さんの目が止まった。。。

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もうずいぶんと食べたというのに、更に 小百合さんは食べようとする。。。

ちょっと美味しそうでしょう!? うふふふふふふ。。。
馬糞のようじゃありませんかア! あんかけの馬糞ですよう。。。 僕は、充分食べたので、もう胃袋に入る余地がありませんでした。。。 それなのに、小百合さんは、そのおっさんに「それは何ですか?」と初歩的な英語で尋ねている。。。 まるで中学一年生の英語の時間ですよ。。。
確かに、そういうことがありましたわァ。。。 うふふふふふふ。。。
ところが、そのおっさんは英語がしゃべれない。。。 たぶん、英語が少しはしゃべるのだろうけれど、中国語のメニューを英語でどう表現したらよいのか?。。。 メニューを見ながら考えているようだった。。。 ところが、メニューを見ているのだけれど、その“あんかけ馬糞”がメニューのどこに書いてあるのか? 全く分からないようだった。。。 普通の日本人ならば、それで、終わりにするのだけれど、食い意地が張った小百合さんは、更に 近くに居た女店員を手でオイデ、オイデして、尋ねている!
だってぇ~、気になるのですもの。。。 うふふふふふふ。。。
僕は、心の中で (んもおおおォ~! よく やるよう。。。 そこまでして尋ねなくていいだろうにィ~!) と思って眺めていた。。。 すると、女店員のお姉さんも余り英語がうまくない。。。 それでも、サービス精神で Lion head meatballs (狮子头) と言った。。。 もちろん、ライオンの頭ほど大きくはない!
。。。で、何だと言っていたのですか?
「フォアグラと蟹の肉を混ぜて、クリーミーな食感で、一度食べたらほっぺたが落ちそうなほど旨いんだわァ~」と言うような事を話していたのですよ。。。 で、驚いたのは その女店員が「お持ちしましょうか?」と尋ねたら、小百合さんが つれなくも「もう、おなかいっぱいだからいらないわ」と言ったのですよう。。。
だってぇ、そうだったのですもの。。。 うふふふふふふ。。。
「だったら、初めから余計なことを尋ねるなあああァ~!」と僕は、心の中で叫んでいましたよう!
だってぇ~、今度、来た時には、ぜひ食べてみようと思ったのですわァ~。。。
あのねぇ~、小百合さんは、もし随筆を書いたら向田邦子さんよりも、もっと面白い作品が書けますよう。。。
そうでしょうか?
もし、アマゾンでアメリカ人がテーブルで食べているのを見たら、小百合さんならば、歩いていって絶対に「あんた 旨そうなもの食べてるじゃない。。。 それって、なんと言う食べ物なのォ~、おせぇ~てぇ~。。。」と尋ねるに決まってますから。。。

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(すぐ下のページへ続く)