スケートリンクと乱歩 (PART 2 OF 3)
『RAMPO』(らんぽ)

1994年(平成6年)5月25日公開の日本映画である。ミステリーおよびファンタジー映画。
「プロデューサーによる作り直し」、「ふたりの監督による2バージョン同時公開」、「劇中のサブリミナル効果」など映画内外の数々のエピソードが話題になった作品である。
「映画生誕100年・江戸川乱歩生誕100周年・松竹創業100周年記念作品」と銘打って公開された。
プロデューサーの奥山和由は監督の黛りんたろうが完成させた作品に納得できず自らメガホンを取って全体の70%を撮り直すなど映画を再構成、自分なりの作品を作り上げた。
それぞれは「黛バージョン」、「奥山バージョン」と呼ばれ同じ日に公開された。
上映時間はそれぞれ93分と98分。
1995年(平成7年)5月27日には「奥山バージョン」に未公開シーンを加えて更に再編集したものに、千住明による音楽(指揮:ヴァーツラフ・ターリヒ、演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)を追加した上映時間100分の「インターナショナル・ヴァージョン」も公開された。
出典:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

僕が借りた DVD は101分の「インターナショナル・ヴァージョン」ですよ。 「未公開シーン」というのは、たぶん、ヌード変態シーンだと思うのですよ。 女装した大河原侯爵が亭主を殺した女を妾にし、その女を裸にしてポルノ映画に出てくるような変態シーンを繰り広げる。


こんなのが日本でよく許可されたと思ったほどですよ。 レベルの低いB級映画のような感じでした。 でも、ヒロインの静子を演じた羽田美智子さんは良かったですよ。 いい女優になりましたねぇ~。。。

そう言えば、デンマンさんは羽田さんのことで記事を書いていましたわね。

■『悩めるアラフォー』
(2011年9月18日)

。。。で、途中で観るのを止めにしてしまったのですか?

いや。。。絶対に最後まで見ようと思いましたよ。
でも、B級映画のようだったのでしょう?
あのねぇ、観ていると横浜のグランドホテルの、あの階段と、時計、それに2階のロビーが出てきた。 このホテルのことでも僕は何度か記事を書いたことがある。 小百合さんもこのホテルには懐かしいものを感じるでしょう?
私は横浜のグランドホテルよりも軽井沢のグランドロッジに郷愁のようなものを感じますわ。。。で、横浜のグランドホテルが出てきたのでデンマンさんは映画を最後まで観る気になったのですか?
いや。。。それだけではありませんよ。 僕は映画の中の乱歩に僕を重ね。。。、亭主を殺したという「静子」というヒロインに小百合さんを重ねながら観ていたのですよ。。。それで、結末がどうなるのか?。。。まるで、小百合さんと僕の将来を占うような。。。「神からのお告げ」でも聞くつもりになって最後まで観ようという気持ちになったのですよ。
私と映画のヒロインが似ているようには思えませんわ。
あのねぇ~、正直言って "The Mystery of Rampo" のストーリーはバカバカしいのですよ。 江戸川乱歩先生と無関係な映画ならば最初の10分見たところで僕は他のDVDと取り替えましたよ。 でもねぇ、乱歩先生の『お勢登場』、『化人幻戯』、『火星の運河』という作品を基にして映画が作られている。 だから、バカバカしいでは済まされないものを感じたのですよ。 それに、考えてみたら、あまりにも偶然が重なりすぎていた。 小百合さんへメールを書くときに思い出したスケートリンクといい。。。この映画のことといい。。。それに映画の内容ですよ。。。
病弱の夫を「長持ち」に閉じ込めて殺すという、そのストーリーのことですか?
そうですよ。 この話は乱歩先生が『お勢登場(おせいとうじょう)』というタイトルで『大衆文芸』1926年7月号に書いた短編小説なのですよ。 肺病に侵された夫は、子供の将来を案じ、書生と不倫する妻おせいと離縁することが出来なかった。


ある日、いつものように「おせい」が不倫相手の元へ出かけた後、夫は幼い息子とその友人達と遊んでやる。 彼はかくれんぼを提案し、部屋の押し入れに隠れた。 子供達が押し入れに近付くと、彼は押し入れの中にあった「長持ち」の中へ入る。 子供達が諦めた頃、彼は長持ちから出ようとするが、蓋が開かない。 密閉された長持ちの中で苦しんでいる内に、「おせい」が帰ってくる。 そして、結局、長持ちの中に居る夫を閉じ込めたまま殺してしまう。 この小説は、映画の中では言論統制によって発禁処分を受けて発売できなかったことになっている。

今の時代ならば問題ありませんわね?
いや。。。アメブロ(http://ameblo.jp/)の愚かな管理人は、多分 現在でも、僕が書いているこの記事を投稿したら未公開にすると思いますよ。 (苦笑) 時代錯誤の言葉狩りと写真狩りを恥ずかしげもなくやっているのですからね。 とにかく、映画では『お勢登場』は出版できなかったのだから、その内容を一般の読者は知らない。 それにもかかわらず、まるで本の内容そっくりの殺人事件が現実に起こってしまう。 その殺人事件の犯人が羽田美智子さんが演じる「静子」という女なのですよ。
でも。。。、でも。。。、私の夫は病弱でもありませんし、私は夫を「長持ち」に閉じ込めて殺したりしていませんわ。
もちろんですよ。。。小百合さんが、そのような無情で無慈悲な女だとは、僕は思ってませんよ。
だけど、デンマンさんは私とあなたを乱歩先生と「静子」に重ねて映画を観たと言ったばかりではありませんか!
そうですよ。。。でもねぇ、さっきも言ったように一連の偶然が単なる偶然ではないように思えた。 だから、なぜか「静子」が気になった。
それで、私を「静子」に重ねて映画を最後まで観たのですか?
その通りですよ。
この映画の結末が私とデンマンさんの将来を暗示していると思ったのですか?
そうです。。。いけませんか? (微笑)
それってぇ、かな~りィ飛躍してません?
あのねぇ~、すでに言ったけれど、この映画は半分程バカバカしいのですよ。 でもねぇ、少なくとも乱歩先生の原作を基にして映画が作られている。 バカバカしいと思うだけで DVD を投げ出したのでは身も蓋もない。 せっかく観始めたのだから時間を無駄にしたくない。 結末も観ずにバカバカしいでは乱歩先生を侮辱していることになる。
要するに、乱歩先生を尊敬しているデンマンさんは、せめて結末を見届けようと思ったのですか?
その通りですよ。
それで、私も夫を「長持ち」に閉じ込めて殺すだろうとデンマンさんは思っているのですか?
滅相もない! そんな。。。そんな恐ろしい事を僕は考えてません!。。。すでに言ったように僕は軽井沢タリアセン夫人が、そのような血も涙もない無慈悲な女だとは思ってませんよ!
。。。で、いったい私とデンマンさんの関係がどうなると推測したのですか?
あのねぇ~、あの映画の「静子」は小百合さんとは全く正反対なのですよ。 意志が弱く、自分というモノを持ってない。 現状をポジティブな方向に持ってゆくという努力をしない根無し草のような女ですよ。
つまり、私は意志が強く、自分というモノをしっかりと持ち、現状をポジティブな方向に変えてゆく、地に足の着いた女だと。。。?
その通りですよ。。。うへへへへへ。。。
デンマンさんはマジで、そう思っているのですか?
もちろんですよ。 社交辞令でも、へつらっているのでもありません。 あのバカバカしい映画を観て、最後に僕が出した結論ですよ。
デンマンさんは私を必要以上に理想化していると思いますわ。
当然でしょうね。
あらっ。。。デンマンさんは、ご自分でも判っているのですか?
あのねぇ~、僕は、おそらく小百合さんの性格や感性や、内心の考え方の多くても30%ぐらいしか知らないでしょう。 小百合さんの旦那も、小百合さんのことを多くても60%ぐらいしか知らないでしょう。


つまり、私の70%はデンマンさんには未知の領域で、私の40%は夫にも未知の領域だと言うのですか?

その通りですよ。 小百合さんは「自分のことは自分以外に知られないようにしている」と言ってましたからね。。。しかも「こんなことは夫には言えない。 言っても仕方がない」ともらしていたこともあった。
それはいけない事でしょうか?
あのねぇ~、一人の人間を100%理解するなんて不可能ですよ。 自分で自分の事を理解していない人も居るのに、他人を100%理解するなんて無理なことですよ。 しかも、親には言えないけれど友達には話せる。 恋人には話せないけれど兄妹には言える。 Aさんには言えないけれど、Bさんにならば話せる。 当然、「夫には言えないけれど、あなたにならば話せる」という事もあるのですよ。 夫婦でも理解し得ない事ってたくさんある。 だから離婚が絶えない。 最近ではバツイチは当たり前になっている。
私もバツイチになるとデンマンさんは考えているのですか?
いや。。。小百合さんは離婚することはないでしょう!
その根拠は。。。?
小百合さん。。。あなたは利巧な女ですよ。 離婚するのは愚か者のすることですよ。 離婚するくらいなら初めから結婚しなければいい。 でも、多くの人はそうしない。 なぜか。。。? 人間はお互いに不完全だからですよ。 離婚する事が判っていたら、当然、誰もが初めから結婚しないでしょう。 でもねぇ、人間は完璧じゃないから、そういうことが判らない。 でも、更に愚かなのは、再婚すればより良い相手に巡り合うだろうと思って再婚する。 それで、また離婚を繰り返す人が居る。 そのような人は結婚に失敗して、更に失敗を求めているようなものですよ。
でも、中には結婚を続けていたら夫のドメスティック・バイオレンスを我慢せねばならず、最悪の場合には死んでしまうかもしれない。 だから、離婚しなければならないという妻だって居ますわ。
それは例外的なケースですよ。 そのような場合には離婚しかないでしょう! ただ、戦争前にも離婚はあった。 でも、現在のように多くはなかった。 なぜか? 戦争前には、結婚に不満があっても、たいていの場合には妻は我慢した。 戦後に結婚した僕の両親を見ても、お袋は我慢していましたよ。 どうして離婚しなかったの?と僕が尋ねたら、後で子供に恨まれそうだから、とても離婚する気にはなれなかったと言ってましたよ。 要するに、30年前と比べれば現在の離婚の多さは、日本人が我儘(わがまま)になり、身勝手に振る舞うようになったからですよ。
でも、デンマンさんだって我儘に自分勝手に振る舞っているように見えますわ。
でもねぇ、自分も相手も離婚することによって、家庭を崩壊させるような愚かな事はしませんよ。
そうでしょうか?
あのねぇ~、僕も小百合さんも恋愛至上主義ではありませんからね。。。
現実主義者だと言いたいのですか?
いや。。。しいて言えば中庸主義者でしょうね。
中庸主義ですか?
恋愛至上主義にも走らず、現実主義にも押し流されず、人生をポジティブな方向に向けてゆく。 つまり、小百合さんには現在、結婚生活に不満があるかもしれない。 でも、「今一つの世界」を持っている。


私は感性の領域でデンマンさんと40%結びついた「今一つの世界」を持っているのですか? 夫との20%の2倍ですわね?。。。で、感性の領域って具体的にはどういうものですの?

小百合さんが書いた次のメールを読んでくださいよ。

Subj:長い電話お疲れ様でした。
Date: 01/10/2007 1:52:14 AM
Pacific Daylight Saving Time
日本時間: 10月1日 午後5時52分
From: [email protected]
To: [email protected]
長い電話お疲れ様でした。
良くわかりました。
経理をしなくてはいけない。
それも13年分。
誰にたのもうか?
レシートもなくてと迷って朝方まで寝られない夜が毎晩だった時、
デンマンさんと話して、ここまで経理が進んだことをホットしてます。
いくら 請求がきても カナダに納めるのならいいやと思いはじめました。
バーナビーで夏休みを過ごすことは
毎年私の支えの時間でした。

あの古い家は、夏休みで休むというより
ペンキ、芝のクローバむしり、
りんごの木の手入れ、
玄関まで高く長い階段のペンキはがしや、
しばらくみがかないガラス、
シミだらけのじゅうたん、
BASEMENTはランドリーのホコリとくもの巣、
行けば、掃除ばかりの家に大変でしたが
また戻りたいと思っていました。
実父の病気に、もう自分勝手にしていては駄目だ。
と今年決意しました。
こんな私でも欲しい物があります。
別荘です。
場所は長野です。
買ったら元家主の藤田桃子さん夫婦も招きたいです。
よかったらデンマンさんも。
日本だったら、親をおいていくことなく、ゆけます。
でも、29才からバーナビーで夏休みを過ごすことができた事は私の人生にとって良かったと思います。
ではまた。。。
小百合より

『カナダのバーナビー』より
(2008年11月18日)

つまり、29才から(13年間)バーナビーで夏休みを過ごすことができた、という事が私の「今一つの世界」だったのですか?

その通りですよ。
乱歩先生も次のように書いてましたからね。
(すぐ下のページへ続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます